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装置設計の知識集

設計リソース不足で諦めていた機能改善

2025.6.10

設計変更が難しいのは、変更そのものが難しいのではなく、リソース(設計者や時間)が圧倒的に不足しているためです。設計者不足が謳われ、その流動性が高まる中で、問題のある設計を行った担当者がすぐに退職してしまうケースが発生しています。これにより、設計責任の所在が不明確になり、継続的な改善が極めて困難になっています。結果として、必要な設計変更が滞留し、案件が何年も停滞してしまうことも少なくありません。

設計リソース不足で諦めていた機能改善 | 装置設計・開発ソリューション

医療機器メーカーのお客様より、実験冷却装置で使用される冷却器具に関するご相談がありました。この冷却器具は細胞片検査に用いられますが、露出したバネが受皿近くにあり、そこに付着した血液が固まり、上下スライド機構が不動になる問題が生じていました。さらに、+23℃から−75℃という広範な温度環境下での使用により、固定ネジが100℃を超える熱変位を起こし、外れることや製品落下のリスクがあるとのことでした。お客様はこの冷却器具に対して、長年問題を抱えられていましたが、設計した製造メーカーが廃業されており、どうしようもない状況でした。既存設計の問題点は以下の通りです。

<既存設計の問題点>
バネの位置が悪く、付着した血液が凝固してスライドしにくくなる
熱変位でネジが外れ、製品が落下する
-75°Cの低温環境下では、落下したステンレス製のネジを拾うのに時間がかかる

④検体を固定するクランプ部が左右に動いてしまう
⑤設計した企業が廃業しているため、図面の改訂ができない

スライド機構の不具合や落下したネジの取り出しに多くの時間を要し、生産性が非常に低い設計でした。そこで当社は、現状の課題に対し以下の対応を行いました。

<当社の対応内容>
①細胞片からバネを遠ざけ、血液などの付着による機能停止を防ぐ
②材料の組成変更

構成パーツを一部削除
④クランプ部の固定方法の変更
⑤表面処理を加え、スムーズなスライドを実現

医療機器開発では、主要な医療機器の薬事承認取得が最優先されます。そのため、それに付随する機器や機構の設計変更が必要な場合でも、限られたリソースが主要機器に集中してしまい、設計変更まで手が回らないという状況が発生しています。さらに、病院や医師からは新たな装置や機器の要望があるにもかかわらず、誰も対応できない状態にあるのが現状です。

当社は、装置・機器の製造だけでなく、設計段階から一貫して対応することが可能です。新規装置開発やメイン装置に注力したいといったご要望がございましたら、ぜひ当社への委託をご検討ください。当社は、医療機器製造業認可(登録番号:20BZ200152)と国際認証であるISO9001(認証登録番号:JQA-QMA15511)を基準とした品質保証体制のもと、装置設計から部品加工、装置製造、クリーンルームでの精密組立に至るまで社内で一貫対応をいたします。

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