装置設計における仕様書・手順書の重要性
2025.8.5
装置設計において、仕様書と手順書は成功を左右する重要な要因です。なぜなら、装置設計は、明確な仕様書と手順書があってこそ、高品質な成果物を生み出せるものだからです。特に、社内でのやり取りと外部委託先とのやり取りでは、その内容や形式は異なるため注意が必要です。
仕様決定済みの場合
社内生産や既存先であれば、仕様書の書き方は気にされないかもしれません。ただし、新規の企業に委託する際に、情報のやり取りがスムーズに進めるためには、以下の点を意識して仕様書を作成することを推奨します。情報の抜け漏れを防ぎ、認識の齟齬による手戻りを最小限に抑えられます。
用途と使用環境
装置がどのように使われるのか、どのような環境で動作するのかを具体的に記述します。例えば、「〇kgのワークが上下に〇cm動く」といった具体的な動作要件や「秒速〇cm以上〇cm以下で動作する」といった速度に関する制約なども含めます。
ユーザーインターフェース(UI)の考慮
ユーザーが装置をどのように操作するのか、ボタンなどの部品がどこに配置されるのかといったUI的な観点も、必要に応じて記載します。
性能要件
精度、耐久性、処理能力など、装置に求められる具体的な性能値を明確にします。
安全性要件
装置の安全な運用に関する要件や、関連する安全規格などを明記します。
仕様未決定の場合
まだ装置の具体的な仕様が決まっていない段階では、設計側がお客様や関係者の方々と密に連携し、以下の情報をヒアリングしながら仕様書を作成していきます。
達成したいこと・解決したい課題の明確化
「何がしたいのか」「今何に困っているのか」といった、装置を導入することで達成したい目標や解決したい課題を明確にします。これが、装置の基本的なコンセプトとなります。
設計上の制約
予算:装置の開発・製造にかけられる費用の上限
サイズ:装置の搬入経路や設置場所の制約からくる物理的なサイズ制限
重量:設置場所の床荷重や運搬の都合などからくる重量制限。
供給インフラ:装置の動作に必要な電気や空気などの供給が可能かどうか
取り入れたい部品:既に使用したい部品や、特定の機能を持たせたい部品など
設計リソースの有無
社内で設計リソースがあるかどうかも確認することで、共同設計の可能性やどこまでを当社で担当すべきかを検討できます。