お客様の仕様に合わせた装置を設計・開発します

装置設計・開発実績

CASE

構想設計

ハンドル昇降機のConceptDesign

本案件は既存製品の問題点に関しお困りだったお客様よりご相談いただいたことをきっかけに情報のすり合わせをスタートいたしました。
手動ハンドルを用いた安価かつ汎用的な機構としてハンドル昇降機を使用されていましたが、長年製作を依頼されている企業様が廃業される運びとなったため、お客様にて図面通りに製造・組立をされた結果製品が組みあがらず、設計(図面)情報と部品に乖離があることが判明したようです。
装置製造を設計から完成品まで一貫対応している当社にこの時点でお声がけいただき、問題点の精査と今後の方針に関し協議を重ねました。

既製品故に設計変更への障壁も考えられましたが、現状では図面と部品の乖離が大きく部品を図面に落とし込むだけではかけるコストとその結果に費用対効果が見込めないため、お客様の承認を経て設計を1から起こし、出来る限りの機能向上を盛り込むことでメリットを創出する運びとなりました。
そこで、エンドユーザー様の意見を精査し、「どのような機能を盛り込むべきか」検討・検証するべく、設計・製造プロジェクトを開始いたしました。

要素検討/試験

ハンドル昇降機のElementalStudyTest

最終的な目標としてお客様のご要望を盛り込んだ「機能向上版」を設計・製作していくことになりますが、前提として現状の部品図が検討材料にするには不十分ということもあり、まずはお客様より御支給いただいた製品の図面への落とし込みを進めました。
また、「盛り込みたい機能向上要素」や「改善したい要素」に関しすり合わせを実施いたしました。エンドユーザー様よりどのようなご要望が多く、お客様は何を課題ととらえているのか、細かな意見も漏らさず、ブレストを行いました。結果として以下の4点が重要なポイントと結論付けました。
①アルミ鋳物とステンレスシャフトの摺動部に溶着が発生
②アルミ鋳物の直角度が悪く、機能不十分
③重量バランスの改善
④ハンドル操作部が重い

これに対し検討・精査し、お客様と設計方針を以下のように確定いたしました。
①②:根幹部分を担う部品の材質をアルミ鋳物からアルミブロック材へ変更。塗装を硬質アルマイトへ変更。これによる溶着及び直角度の改善と、処理も含めた強度向上を予定。
③:装置に取り付ける際は縦シャフトの下部のみで自重を支えるため、バランスを保てるよう重量バランス(機構部品によるカウンターウェイトや腕長さ)の改善。
④:ギアを直接駆動させていたハンドル操作部にウォームギアを追加し、必要入力トルクの低減を予定。

試作・検証を進めながら綿密な情報共有を行い、上記のように要素検討を完了いたしました。

基本設計

ハンドル昇降機のBasicDesign

要素検討・試験の段階で実物を基に図面化は行いましたが、その後お客様に承認いただいた設計変更内容を盛り込み、再度「図面化」及び「機構試験」を行いました。本件はシンプルな構造ながら人員による操作を過不足なく稼働結果に表現することを求められており、先述の重量バランスや部品・稼働の精度、入力トルクの多寡などが重要な要素として関わってきます。
そのため、試作部品や機構の検証治具を作成し、荷重試験・繰り返し試験等、設計ソフト上の解析だけでは判断できない要素の実証実験を重ねております。これにより多少の寸法変更などは発生したものの、概ね予定していた設計変更内容でお客様のご要望を実現することができました。近年の設計ソフトは機能の精度も数年前が比較にならないほど進歩しているものがございますが、上記のように実証実験は多くの場合有効です。ソフトによる解析は高額なものになるほど現実に即した様々な環境設定も可能ですが、重要なのは現実でどのような稼働状況が起こりうるかです。安全率は重視しますが、エンドユーザー様の稼働状況に合わせより快適な仕様を模索するためにも、当社では実証実験を重要ファクターとしてとらえ、実行しております。
上記実証実験を通し、設計に必要な事項は全て検証完了となりました。

詳細設計

ハンドル昇降機のDetailedDesign

現行部品の図面データ、検証を経て確定した設計変更要素、それに伴う部品リストの内容など、出揃い・確定した内容を装置製造に向け再設計及びまとめる段階となります。
お客様としても既存手配先がすでに廃業されておりましたため、急ピッチで完成させる必要がございました。当社としても要素検討や基本設計段階で安全を考慮した十分な検証を行っていたため、詳細設計での図面化工程はすぐに完了とし、お客様にも承認をいただき製造に移行しました。完成品をお客様へお届けし、機能検証した際も基本設計段階で十分な検証を行っていたためお客様のイメージ通りの結果となり、ご好評をいただきました。

その後も本件は多様な顧客ニーズに合わせ「ハンドル位置変更」や「重量増対応型」等、お客様の装置やオプションのバリエーションが増えている状態です。様々なニーズに対応できるラインナップの拡充により、お客様の市場競争力も向上致しました。

本件の発端となった部品と図面情報の乖離は、多くの現場で起きうる状況と考えております。それを気づかず放置されてしまう状況も多くあると感じております。当社ではこのような事例に学びを得て、社内・外問わず様々な案件の見直しを定期的に行っております。人的・時間的余裕がない場合はぜひ当社へお声がけくださいませ。

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