CASE 昇降機 バケットコンベア
構想設計

本件はバケットコンベアを製造をされていた企業様が廃業されたのをきっかけに、製造を当社へ移管する運びとなった経緯がございます。ですがそのまま移管した訳ではなく、当社にて再設計を行っております。それというのも、移管前の段階では最新図面が揃っておらず、ノウハウは製作されていた業者様が保有されていたため製作時の再現性に疑義があったことと、当社が製品を販売する上でカスタマイズ性を向上しお客様のご要望へ柔軟に設計変更を行いたい意向があったためです。
まずは現品を全て採寸し、カスタマイズ性を持たせたい箇所にどのような汎用性を持たせるか、など基本構造の検討を行いました。また、より多くのお客様にコストメリットをご提供できるよう、当社が得意とする既存機の大幅な設計変更を同時進行で検討いたしました。部品一つ一つを一度図面化し、そのうえで材質や加工・組立内容の再検討を行い、そのうえで安全率を保持した上で機能性を保ちつつコスト低減を目指し設計を進めました。
要素検討/試験

当社がメインの販売先として検討したのは食品・医療業界でした。要素検討の段階ではどちらの業界にも必須となるコンタミ防止策や、搬送物への傷・打痕防止など、想定されるニーズに沿った設計及び実現可能性の検討と、カスタマイズ性をどのように広く保持するかを検討いたしました。例えば以下のような内容です。
・チェーンやスプロケットのステンレス製やベアリングの防水仕様を用意しておくことで、お客様の稼働状況内での内部水洗いのご要望にオプションで対応する
・材料投入時に装置・設備ごとに異なる高さや投入位置への対応を目的として、本気の投入位置を高さ及び奥行方向に延長・短縮変更可能な設計に変更
上記は抜粋ですが、どのような要素を装置に盛り込むことで「機能性」や「安全性」の向上ができるかを具体的に選定し、開発・設計の方向性を確定させました。これにより3D/2Dのデータ作成(基本・詳細設計)に移行してからも内容がブレることなく、複数人での設計時に起こりうる設計思想の認識差異低減や、案件完了までのスケジュール感の把握がより精緻に可能となります。もちろん必要に応じ都度のすり合わせや定期的な会議を行い、追加で設計を行いたいオプション機構などが発生した際も要素検討を行うことはありますが、設計工数が大きく発生する前段階での方向確定が案件のQCDに大きく影響するため、要素検討工程には注力しています。
基本設計

要素検討で確定した設計思想や方向性に沿って実際にデータ作成を行います。拡張性も広ければよいというわけでなく、広すぎる拡張性は装置の部品単価の増大や納期の遅延にもつながる恐れがあるため、要素検討段階で確定した内容(例に挙げた部分では使用部品の材質パターンの拡充・高さ/奥行方向への延長/短縮可能な設計)に沿った設計を行いました。オプションで変更を入れることを前提に、各素材での強度解析や干渉チェックなど、データ上でも多種多様なリスク対策を実行することができます。また、長さ・高さ変更に関しても一部構造の自由度を上げることでその他部品の共通化は残しつつお客様のご要望を叶えることに対応し、オーダー設計の必要な部品数を制限し、装置全体のバランスはもちろん、納期・コストも無為な増大を防ぐことができるよう設計を進めました。また、稼働を制限する要素をできる限り排除すべく、50/60Hzどちらも対応できる共通化基盤の設計や、投入量やタイミングの違いに対応するべく元からフィーダーに備わっている「連続運転」と別に、電子制御による「間欠運転」を追加いたしました。これにより被運搬物(特に粉体・粒体)の連続供給によるこぼれ防止を実現しております。
詳細設計

詳細設計では基本設計で確定された装置設計に追加する、案件ごとのご要望に則したオプション部分を設計しております。例えば相手装置の材料投入部分に合わせ図面を作成し、必要に応じ各種解析も行います。ここでは少々手間と時間がかかろうとも、製作してからの調整ではなく可能な範囲で詳細なリスクヘッジを行うことを優先しております。また、設計変更を行う箇所はある程度厳密に決まっておりますが、お客様のご要望に応じ+αで新規設計をおこなうこともあります。装置への投入部分となる箇所に専用のシュートを設計したり、材料を運搬するバケットのワイドタイプへの変更、コンタミ防止をより厳密かつ持続的に実現するための装置内部構造変更や板金カバーなどの追加検討など、装置の稼働に制限がかからない程度で大小問わず対応させていただいております。当社の昇降機は価格もさることながら上記のようなカスタマイズ性もご好評をいただいております。
既存機種の拡張性とそのリスクが原因としてお悩みの場合などは、ぜひ当社にお気軽にご相談くださいませ。