投稿日:2023年3月8日
装置部品に表面処理として耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性等の機能性を付加させることで交換周期やメンテナンス期間を伸ばすことが可能です。いずれの部品にも経年劣化は付き物ですが、装置の主要部品であればあるほど、交換に伴いラインを停止せざるを得ません。ライン停止は製造時間のロスによる機会損失を生みますので、表面処理による機能性の付加が非常に重要になります。
設計・開発者が知っておくべき表面処理・焼入れ
表面処理とは、金属の表面に何らかの化学的処理や皮膜を形成することで金属の表面を改質する技術です。また表面処理技術の一つである焼入れは、金属の硬度を上げることです。表面処理や焼入れには様々な方法があり、中には一般的な処理方法とは異なるメーカー独自の方法もあり、用途や仕様に合った方法をいかに採用できるかがコスト最適化を考える上で重要な要素になります。
表面処理方法の変更による機械部品の機能性向上
OEM装置設計・製造.comを運営するZESTIAでは、あらゆる業界の装置設計・製造に携わってきました。今回ご紹介するのは、磁性を嫌うフィルム製造業のお客様で錆にお困りのところ、表面処理方法を提案することでコストダウンにも貢献出来た事例です。
Before
従来はお客様にて、S45Cに焼入れ+無電解ニッケル処理を行っていましたが、熱処理時に付く酸化皮膜がめっきの付着を阻害しており、めっき剥がれが頻繁に起きていました。そこでめっき剥がれを懸念して、材質をSUS440Cに変更したりSUS304+窒化処理に変更しましたが、どうしても錆びてしまうという課題が解決しませんでした。
After
そこでOEM装置設計・製造.comを運営する阿知精機では、SUS304+特殊窒化処理の提案をしました。その結果、錆の問題を解決することに成功しました。中にはSUS304+特殊窒化処理の代わりにSUS630で提案する企業もいますが、コストと流通性を考慮すると、こちらの方が装置自体のコストダウンにつながります。このように機械部品の設計では、目的に応じた材料の選定と表面処理の選定が重要になります。
食品機械に対するVE設計提案事例のご紹介
ZESTIAは装置専門で受託製造を行っているわけではございません。ただ装置・機器の設計・製造・組立を行うだけでなく、装置の性能を最大限に発揮させる部品加工や表面処理まで対応しており、材質の変更・図面見直し・加工の内容検討・表面処理の変更・仕上げ内容見直し等、多角的なVA・VE提案も行っております。
そして当社が得意とする分野が食品機械の設計・製造・組立です。食品機械は文字通り食品を製造するための機械ですので、装置の製造工程においてもただ清潔であることだけではなく、食品製造装置専用の油脂類等の使用が求められます。さらに、食品の残留や異物の混入を避けるため、洗浄やメンテナンスを行いやすい機構を兼ね備えることはもちろん、部品単位で傷や打痕がないこと、さらに食品に適した表面処理を選択することも求められます。当社はコンタミ・異物混入を避けるための傷・打痕を付けない部品加工や、テクノフォスやニダックス等の食品衛生法に適合した表面処理まで精通し、必要に応じてご提案することも可能ですので、お気軽にご相談ください。